ハッピーエンドを君達に ☆☆  None氏
異世界迷い込み シークレットゲーム デスゲーム オリ主 完結
3:「3名以上の殺害。首輪の作動によるものは含まない」
制限時間内に特定の条件をクリアできなければ死、条件には他者の殺害をも含まれる。そんなシークレットゲームの世界にイレギュラーな存在として迷い込んでしまった主人公は、ゲームの設定の知識を武器とし生還を目指す。
現実来訪系、トリップ物とも言われるジャンルの作品。この手のジャンルは、未来の流れや相手を一方的に知っていて情報的に絶大にアドバンテージを持つため、どうしても傲慢で上から目線な主人公に陥りやすいという傾向にある(自己投影型の主人公になりがちなのがそれに拍車をかけてしまうのだが)。
しかし本作品は、”知るはずのないことを知っている”不自然により警戒されるデメリットとのバランスが取れていて、訪れる危機を知りながら仲間に説明できない、そんなもどかしさが良い。行動が他人の行動に影響し合い最善の行動が最良の結果に結びつかず、知識がある主人公といえども決して指し手には成り得ず唯駒の1つに過ぎない滑稽さがたまらない。自分にとっては当たり前の行動が他人には不可解にしか映らない、そんな当たり前がどれほど恐ろしいか改めて感じられる。物語における視点とプロットの重要さがよく分かる作品です。(以下若干のネタバレ、見たい方は反転をどうぞ)
強いて不満があるとすれば中盤〜終盤の中だるみと主人公の過去。主人公が不殺を掲げたため、協力者が増え武装が強力になってからは死亡者ゼロが予想できて緊張感が無くなってしまった。また、後半の主人公のトラウマがクド過ぎに感じた。最後に、結局本来の世界の主人公に一切の救いがなく残念だった。


腕白関白の流れを継ぐ、ドラキュラと巫女がいい感じ。ドラキュラの方は物語が佳境に差し掛かっているのでうまく着地を決められるかが勝負。